第1章
ネットワークの全体像
端末同士がデータを届け合う仕組みと、通信を層に分けて考える理由を学びます。
この章で学ぶこと
- ネットワークとインターネットの違い
- クライアント、サーバー、ルーターの役割
- データがパケットに分かれて届く仕組み
- 通信を層に分けて考える利点
ネットワークとは
ネットワークは、複数のコンピューターやスマートフォンなどを接続し、データをやり取りできるようにした仕組みです。家庭や学校の中だけを結ぶ小さなネットワークもあれば、世界中のネットワーク同士をつないだインターネットもあります。
Webはインターネットを利用するサービスの一つです。インターネット上では、Webのほかにもメール、オンラインゲーム、ビデオ通話などが動いています。「Web」と「インターネット」は同じものではありません。
通信に登場する機器
ブラウザでWebサイトを開く場面には、主に次の役割が登場します。
- クライアント:情報を要求する側。ブラウザを動かすパソコンやスマートフォンなど
- サーバー:要求を受け取り、Webページやデータを返すコンピューター
- ルーター:異なるネットワークをつなぎ、データを次に送る経路を選ぶ機器
- アクセスポイント:Wi-Fiを使う端末を有線側のネットワークへつなぐ機器
家庭用の「Wi-Fiルーター」は、ルーターとアクセスポイントなど、複数の役割を1台で担当することがあります。
スマートフォン
│ Wi-Fi
▼
家庭のルーター ── インターネット上のルーター ── Webサーバー
▲
│ 有線LAN
パソコン
途中の経路は毎回まったく同じとは限りません。ルーターは宛先を見て、次にどこへ渡すかを判断します。
データはパケットに分けて送られる
大きなデータを一つのかたまりのまま送るのではなく、ネットワークでは小さな単位に分けて扱います。この単位をパケットと呼びます。各パケットには、宛先など配送に必要な情報が付けられます。
パケットに分けると、一つの回線を複数の通信で共有できます。途中で失われたデータだけを送り直すこともできます。一方で、混雑や遠い経路によって到着に時間がかかったり、届く順番が入れ替わったりすることがあります。
ネットワークの状態を表す代表的な言葉も覚えておきましょう。
- 帯域幅:一定時間に送れるデータ量の目安。道路の幅にたとえられる
- 遅延(レイテンシ):データが相手へ届くまでにかかる時間
- パケットロス:途中でパケットが失われること
「回線が速い」とき、データ量を多く運べることと、応答がすぐ返ることは別の性質です。大きなファイルのダウンロードには帯域幅が、オンライン会議やゲームには遅延も大きく影響します。
通信を層に分けて考える
ネットワークの仕事は複雑なので、役割ごとの層に分けて考えます。Webを理解するときは、次の4層で見ると整理しやすくなります。
| 層 | 主な役割 | 例 |
|---|---|---|
| アプリケーション層 | アプリ同士が交換する内容や手順 | HTTP、DNS |
| トランスポート層 | アプリ間でデータを運ぶ | TCP、UDP |
| インターネット層 | 異なるネットワークを越えて宛先へ届ける | IP |
| リンク層 | 同じネットワーク内で隣の機器へ届ける | Ethernet、Wi-Fi |
送信側では上の層から下の層へ必要な情報を付け、受信側では逆に情報を取り外しながら元のデータをアプリへ渡します。層ごとに役割を分けることで、Wi-Fiから有線LANに変わっても、Webアプリは同じHTTPを利用できます。
OSI参照モデルでは7層に分けますが、この教材では、実際のインターネットを理解しやすい4層の考え方を使います。
確認問題
- インターネットとWebの違いを説明してください。
- ルーターは通信の中で何を判断しますか。
- 帯域幅が十分でも、ビデオ通話が途切れる原因には何が考えられますか。
- 通信を層に分ける利点を一つ挙げてください。
まとめ
インターネットはネットワーク同士を結ぶ仕組みで、Webはその上で利用するサービスです。データはパケットとして複数の機器を経由し、各層の決まりに従って宛先へ運ばれます。次章では、宛先を表すIPアドレスと、名前をIPアドレスへ変換するDNSを学びます。